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週末はふたりで

ずっと、気になっている人がいる。

初めて会ったのは四年前
そうと分からぬように周りに気を遣うのが上手い人だった。

年上の余裕と優しさを、はにかんだ様な笑顔に隠して
いつも人の輪の中心にいる。

一緒にいるうちに気になりはじめた。
平たく言うと
好みだったのだ。






会社でその人がいる部屋に行くといつもその姿を探した。
廊下で会った時には意図的に大げさな挨拶をして、会話の糸口を探った。
そうやって話をするのも楽しかった。

内容を吟味し過ぎて話の流れを止めてしまう僕を、いつも微笑んで待っていてくれた。
どんどん惹かれていく自分を止める事ができない。


ふたりで出掛けたら何をしよう?
 

そんな妄想をしたりするけれど
自分から誘う勇気は無い。

いつもはそういうのは得意な方なんだけど
その人は会社の人というのもあって 、なかなか口に出す事ができなかった。

歯がゆい思いをしながらも
現状にある程度満足している自分もいた。

(何か粗相をするくらいならこのままの関係で・・・)

もっともらしい妥協の理由で自分を納得させ
進展させる努力はとうに放棄してしまっていた。



「今年も開催します。皆さん奮って御参加下さい」


先日、その人からメールが来た。
毎年仕事納めの後にその人が主催するパーティが開かれている。
社交的な人なので、いつもかなりの人数が集まり
楽しい時を過ごしているらしい。

「らしい」である。

僕は毎年何かしら予定が入っていて
いつも声を掛けて貰いながらまだ参加できずにいた。
それが、今年はうまくスケジュールが空いたので出席する事ができそうだった。

メールの返信を打とうとして、止めた。

その人の部署に用事がある事を思い出したのだ。
(せっかくだから直接伝えよう。ついでに話しができればいいな)
体の良い口実を見つけた僕の足取りは軽い。

部屋の前に行くと、ちょうどその人が出てくるところだった。
今日もシックなスーツを見事に着こなしている。
話す事を考えていなかったので、ドギマギしながらもパーティーへの参加を伝えた。

「ほんとう?巷くん毎年来てくれなかったから、嫌われてるかと思ったよぉ」

おどけた仕草と語調で冗談だとわかってはいるけど
それでも慌てて否定した。
そんな僕をおかしそうに眺めながら嬉しそうな表情を隠そうとしない。

他意は無いとわかっていても何かを期待してしまっている自分がいて
それを慌てて諌めた。

他愛も無い世間話をしていると、不意にこんな事を言われた。

「年末のは年末のとして、巷くん今週末ヒマ?時間あったらちょっと付き合ってほしいの」

思ってもみなかった申し出に僕の世界は静止した。

鼓動が一拍
飛んで打った様な気がした。

「ヒマヒマヒマです!どこでも行けます!!」

一も二も無く望外の提案に飛びつく。
本当は予定があったのだが、それを調整する事すら考えていなかった。
ガッツつき過ぎている自分を自覚したが、上がったテンションが下がらない。

「じゃあ、六本木とか新宿に付き合ってくれる?行きたいお店があるんだ~ 時間は何時が良い?」
「何時でも大丈夫です。新宿でしたら御案内できるお店もありますよ」

手馴れた様子で予定を決められていくので
少しでも主導権を握ろうと虚勢を張った。

それにしても、これは現実だろうか?
あまりに上手く事が進みすぎている。
こういう時には慎重に・懐疑的になるべきだと自分に言い聞かせるけど
浮き立った心がそれを難しくさせていた。

(なに着て行こうかな・・・)

心は既に週末に飛んでいる。

「あ、そうだ。途中からふたり合流するんだけど、大丈夫かな?」

浮かれた気分に、警戒のアラームが鳴り響く。

「全然大丈夫ですけど・・・ どんな人達なんですか?」

顔が強張りかけるのを抑えて
さりげなく探りをいれてみる。









潰れた雀荘の元店長と外資系商社雀ゴロ。ふたりとも強いよ~」

「濃いメンツですねぇ・・・  夜からはセットって事ですか?」

「うん、元々サンマやる予定だったんだけど、巷君が来てくれれば4人で打てるね。夜まで大丈夫?」

「時間は大丈夫なんですけど、腕の方が心配ですね。最近ネット麻雀ばっかりだったんで」

「騙されないよ?聞いたよ、上野で相当打ってたらしいじゃないか」

「誰に聞くんですか!そういうの。相変わらず情報通だなぁ」

「そんなに広い会社じゃないからね。悪い事したらすぐわかっちゃう」

「気をつけます。ところで、行きたいお店ってどこですか?」

「うん。六本木の・・・」

「もしかして、あそこですか?」

「そうそうそこ。なんでわかったの?」

「私も行ってみたかったんですよ~」

「気が合うねぇ。同卓でいいよね?」

「ええ、元々そのつもりでした。卓を囲むのは久しぶりですね」

「うん、2年ぶりくらい?巷くん最近大会来ないから」

「子供がもう少し大きくなったら行けるんですけどねぇ。当面は無理ですね。そうだ、年末はどのくらい来るんですか?」

「多分13・4人くらいかな。知り合いの雀荘で3卓借り切ってワイワイやる予定だよ」

「良いですねぇ。僕アルティマがいいなぁ」

「俺あれ苦手なんだよね」

「慣れると早いし、良いっスよ?食わず嫌いは良くないですよ~」

「配牌の取り方も腕だと思うんだけどなぁ・・・古いのかな?俺」

「どうでしょうね?僕も最初は戸惑いましたし」

「まぁ、それは確認しとくよ。じゃあ、週末はヨロシク!」

「こちらこそ。宜しくお願いします」







そんなわけで、週末と年末にセットの予定が入りました。
天鳳もほどほどにしてリアル麻雀の調整をちょっとやらないとですね。

この人は会社の麻雀大会で出会った人で
空気を読まずに勝ちに行く私を、巧みに周りを使って止めて来た人です。

一度、明らかな中抜きで脇に差込まれ、思わず顔を見たら

「皆を楽しませないとダメだよ」

と眼が語っていました。

自分より遥かに上の技量と器を前に、私は恥ずかしくなってしまい
それ以降大会では仲良し麻雀を打っています。
社内では麻雀に関するフィクサーのような人で
色々な企画を立ち上げたりセットの手配をしたりしている方です。

会う度に麻雀の話をするのですが、高度でついていけない事もしばしば。
会社で麻雀の話をする貴重な話し相手のひとりでもあります。

遂に同卓で直接対決。
腕が鳴ります。

1回や10回で実力通りの結果になるとは限りませんが
ベストなパフォーマンスができるよう体と心の準備だけはしておきたいと思います。


※この日記はかなり以前に書いたものです。
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おっ、社内恋愛だと思いきや・・・

No title

>フライデー雀士さん
ある意味、社内恋愛ではありますw
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その名の通り、その辺にいる打ち手です。

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