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照れる男の子

※この私をして「これすげー無駄に長いな」と唸るような文章ですので、閲覧注意。
あと、眉唾。







この前の週末。
新しいスーツを作ったので、池袋のスーツカンパニーへ取りに行ってきた。


「ここの店員さん、絶対顔で選んでるよな」


という確信を深めつつ、サイズを直したスーツを受け取りお店を出る。
無駄に攻撃的な熱気にさらされた瞬間、「久々に冷やしたカッツが飲みたいな」と思い立ち
隣のビッグカメラで買って帰る事にした。

地下の酒売り場でカッツとビールを少々。
結構ポイントが貯まっているので、気軽にカゴヘ放り込む。完全に店側の意図通りである。

レジでは中年の女性が店員の処理を待っており、その後ろには一升瓶を二本抱えた初老の男性。
私は男性の後ろに並び、携帯から「スーツカンパニー店員の可愛さは異常」というポストを放り込む。良い時代になったものだ。

そのまましばらく待つが、一向に前へ進まない。
怪訝に思い背伸びして前を覗き込むと、どうやら女性はお中元か何かの一括配送を手配しているらしく
店員の持つボールペンがカタログと伝票の間を忙しく往復していた。

(あ~あ、ついてないな)

と思いながら、またツイッターをいじる。
いちかわさんのリプライへ返信する。
「ゆけ!勇者」に追加された新ダンジョンの情報収集をする。
月刊ネットマージャンでブログの最新記事をチェックする。

・・・・・・・・・
いくらなんでも遅い。もう15分は同じ状態だ。
前の男性は露骨に苛立ちを表に出しており、何やらボヤいている。


すると、先ほどからこの周囲で仕事をしていた店員が隣のレジから男性へ声を掛けた。


「申し訳ございません!こちらのレジへどうぞ!!」


はあ?と思った。男性も同様だろう。

先程から隣のレジにはビッグカメラの封筒を持った客が出入りしていた。
なのでてっきりそこは、予約物品受け取りの場所だと思っていた。
そして今まで並んでいたレジには「酒専用」の表示が施されており、てっきりここでしか酒は購入できないものかと思い込んでいた。

隣でも買えるのかよ!
だったらさっきから買えたんじゃねえか!空いてる時間はいくらでもあったし!
接客が停滞してるのなんか一目瞭然じゃねぇか!フォローしろよ!
そもそも、伝票処理みたいな事やってる店員が采配しないとだろ!

瞬時に色々な突っ込みが頭の中で炸裂したけど、それは別に良い。
問題はここからだ。

一升瓶を店員の前に置くと、男性は開口一番啖呵を切った。


「にいちゃんよぉ。この対応はねえんじゃねぇか?」


多少ドスが利き過ぎているが、妥当なクレームだと思う。
私はとっくに「ここの店員ダメなんだな」という脳内烙印を押している。心の狭さがコアコンピタンス。


「大変お待たせしてしまい申し訳ございませんでした」

「アンタも隣の彼も、何やってたの?」


非常にテンプレ通りな会話が弾んでいる。
私としては酒が重くてだるいので、早く収めて欲しいところだ。

(謝ってるんだから、そろそろ収めてやれよ・・・)


そう思い始めた頃、店員がこんな事を口走った。


「早目にお声掛け頂ければ、すぐにご案内できたのですが・・・」


聞いた瞬間、

(あちゃ~)

という諦念。
それと共に蘇って来るエピソード記憶と、当時の心の形やにおい。

私はその数瞬に過去の体験と現実とを摺り合わせ、展開を予測していた。
脳裏を駆け抜けたそれらを、少しだけ引き伸ばしてみよう。




学生の頃。

諸事情により慢性的な金銭切迫状態にあった私は
紆余曲折の末に得た妙なアルバイトにより、何とか生活していた。

それは特定の仕事をやるわけでは無く、雇い主の意向によってその時々言われた事を行なうという、少し特殊な仕事だった。
2週間仕事が無い時があったかと思うと、3日間カンヅメになったりする。
給料は基本歩合制だが、何の特殊技能も無い小僧が一般的に得られる金額を遥かに逸脱した紙幣が毎回渡された。

ひたすら偉い人の使いパシリをしたり
ホストクラブの掃除をしたり
飲み会を設営したり
指定された場所でただ突っ立っていたり

色んな事をやった。
その中に雀荘のメンバー的な仕事があり、私はそこへ適正を見出されて徐々に麻雀専門みたいな形になっていった。

メンバー業と言っても、少しだけ普通の雀荘とは違う。
具体的には


・店舗が一般集合住宅内にある。

・完全紹介制で看板や広告は一切無い。

・レートは客同士の歩合制。(テーブルリミットはある)

・1卓しか置いて無くて、酒を飲んだり話をしたりするスペースがやたら広い。


こんな感じ。
雀荘と言うより、きな臭いサロンに近い形態だ。

私はここで打ち子と接客をやっていた。
接客と言っても牌を磨いたり飲み物を出したりといった部分は専らオーナーの奥さんがやっていたので
私たちがやるのは、ゲームをひたすら見守り、裁定が必要な場合は口を出す事と
勝ち分負け分オーナー持ちで麻雀を打つ事だけだった。

レートは一般と比較して割高ではあったが、顧客は地回りの有力者や金を持っている遊び人が多かったので
ガチガチなきつい麻雀になる事は少なかったし、そういう打ち手はすぐに断るようにしていた。
麻雀を打つ場所でありながら、その場を支配している価値観は麻雀が中心では無かった。


いや、そんなんはどうでも良いんだ。
とにかく私はメンバーの真似事をしていた。


ある日

ラフな格好をした好々爺みたいなお客さんが来店した。
初顔だ。

私と世間話をしていた男性が、立ち上がって挨拶をした。
やり取りを見た感じだと、どうやら不動産系の偉い人のようだ。

私の地元だと、有力者=タチが悪いと考えて間違いが無い。
まったくヤクザと繋がっていない企業は皆無だし
下手なヤクザよりもヤクザっぽい会社などは無数にある。
当時の私はそういった部分について「ヤクザ⇔それ以外」という分別はされておらず、「どの程度ヤクザっぽいか?」という程度問題として扱っていた。

その私から見るに、どうやらこのお爺ちゃんのヤクザ度は相当高そうだ。
柔和に見えるけど、言葉の節々が闊達かつ剣呑。
ヤクザと言うか、”任侠”に近い雰囲気を感じ取った。

(これは、相当気をつけないとヤバいな・・・)

警戒を強めるが、表には出さないように努力する。
当時はまだ努力が必要だった。

待ち客(と言うか、そこにいた人)が3人いたので、そのまま1卓立てた。
全員が顔見知りのようで、和やかに会話しながらゆったりと牌を打っている。
私ともう1人いる同年代のメンバーは、卓を挟んで対角線上に立ち、四人全員の挙動とゲーム展開を見ている。

そのまま半荘5回を終えた。
初戦はトップを取ったお爺ちゃんだったが、その後は3ラスに3着1回の負け頭だった。
私は彼の手牌が見える位置にいたんだけど、これといって違和感のある選択も無く、単にツイていないから負けたように思えた。


お爺ちゃんは、特に態度を変える事無くにこやかに席を立ち
 

「今日はこれで失礼するね」


と他の客と私たちへ挨拶し、玄関の方に歩き出した。
やや慌てて、私の相方がそれを追い掛ける。
数少ない接客業務を行なうべきタイミングだからだ。

相方の声に振り向いたお爺ちゃんは、やや怪訝な顔で説明を受ける。


「最初に預からせて頂いていた分をお受け取り下さい」


そう、預かりの戻しだ。
一般的な雀荘でも多く採用されているシステムだが、場の性質上ここでの預かりの金額はかなり大きい。
相方は数週間前に一度返却を忘れオーナーに”説教”を喰らって以来、これに関しては神経質になっている。

お爺ちゃんは今ひとつ要領を得ないようで、やり取りが滞っている。
相方も話が通じない事に軽く苛立ちはじめた。
さっきまで打ってた客達も、興味無さそうにそれを眺めている。

そのうち面倒臭くなったのか、お爺ちゃんは受け取りを拒否し始めた。
「キミが取っておきなさい」とかそういう流れになっている。
そう言われると相方としても、妙な使命感に駆られて受け取って貰わないわけにはいかない気持ちになる。

その時点で、(あぁ、まずいな)と感じた。
二人の利害と相手の思惑への認識がズレていると判断したからだ。

相方は、職務として金を受け取って貰わなくてはならず、相手としても無駄金を捨てるのは損と考えると思っている。
だがお爺ちゃんの思惑は違うのだ。

押し問答のようなやり取りの末、ついに相方が決定的な一言を発する。


「これで少しでも負け分を埋めて下さいよ!」


(あちゃ~)


そう、この部分が10数年後の池袋とシンクロしたのだ。

レジの店員も、この相方も。
おそらく、自分が相手の逆鱗に触れてしまった事に気付いていないだろう。

長時間レジの前で待たされたから怒っている。
システムを理解できずに苛立っている。

最初はそうだったのかもしれない。
でも、各々の言葉で事態は次の段階に進んでしまっている。

年齢や立場を問わず男が一番激昂するのは、恥をかかされた時だ。

金や時間を浪費した事自体はどうでも良い。
自分の女が寝取られたとして、女性が自分の手から離れる事に怒るのでは無い。
盃で額に傷を付けられる。怪我が痛くて怒るのでは無い。


「隣でも会計可能な事に気付かなかった」

確かに男性側の非もあるし、もちろん店の対応も悪い。
でも、問題はそんな部分じゃ無い。
”それに気付かずに突っ立っている自分”が恥ずかしくて惨めで、腹を立てているのだ。
それで、たまたま大義名分が成立する店員相手へ怒りを差し向けただだ。

なのに店員は、その”恥”を助長するような発言をしてしまった。
しかも衆目の中で、だ。

もうこうなると収まらない。
男性は顔を真っ赤にして喚き出し、私は諦めて酒を床に置いた。


お爺ちゃんも同じだ。

立場のある人だ。
この程度の麻雀でいくら負けようが預かりが戻らなかろうが、痛くも痒くも無い。
痛くて痒いのは、見栄と言うか面子の部分だ。

この人はこの時麻雀で負けた。
負けた事自体はどうでも良い。
ただ、その後は綺麗にサッと帰りたいのだ。
負けた博打でグダグダ言うのなんか、こういう人が一番恥じる行為だ。(勝手に私の耳が痛くなった)

それなのに、私の相方に皆の目が届く場所で引き止められ
なんだかよく意味のわからない事をグダグダと説明され、煩っている。
あまつさえ、「これで負け分を埋めろ?」最悪だ。みっともない事この上無い。

・・・と、いった風におじいちゃんは感じているはずだ。

この後は

車から呼ばれた体格の良い方に私たちがボコられる



遅れて登場したオーナーが、詫びを入れる


という、イヤな王道的展開で収まった。
こういう時、「お前らじゃ話にならん!責任者を出せ!!」と言われるまでの時間を稼ぐのも、私たちの仕事だ。
さしずめ”サンドバックサービス”といったところだろうか。泣きそうだ。
こういったトラブルの時って段取りが重要で、”いきなり一番上が出て行ってはいけない”というのが鉄則。

まぁ、良い金を貰っているから仕方が無い。


これと凄く似たようなお話が、百貫雀さんのサイト「雀のお宿」にあるので
興味のある方は是非御一読下さい。

http://www.hakata21.com/suzume/2mach/04arak-1.html




会社の中の人間模様やネット上の交流を見ていて。
男の子ってマジ成長しねぇなぁ、と感じる。

いくつになっても下らない意地とかプライドに捕らわれたままだし
そのくせみんな甘ったれで、現実的な対処能力は女性達にまったく敵わない。

でもまぁ
それが可愛いとか格好良いとか受け取る感性があるからこそ
色んな物事が発生したり、発展したりしてきた側面もあるんだろうなぁ。

こんな作り話をブログに書けるのも、伊達や酔狂に連なる事象のひとつなんだろうし。


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